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2010.04.25

丸田祥三氏 「棄景写真剽窃被害」訴訟3

 15時05分から審理が再開された。今度は、被告である小林伸一郎氏に対する尋問だ。小林氏が、この件について公の場で発言するのは、事実上初めてである。

 まずは、被告側弁護士からの質問に答える主尋問が行われる。

「廃墟を撮影し始めたのはいつ頃からですか」
「私は、学生の頃から鉱山などに関心を持つようになり、写真を撮るようになりました」

 相当練習をしたのか、弁護士からの質問に文章を読み上げる調子で淡々と答えていく。実際に原稿を見ているのかは、傍聴席からは見えない。しかし、予定さ れた文章だけを発言するという姿勢のようだ。

「あなたは、丸田祥三氏の個展を見に行ったことはありますか」
「ありません」
「あなたのスタッフが、丸田氏の個展を見に行ったことはありますか」
「ありません」
「あなたは、丸田氏の作品を見たことがありますか」
「時期はわかりませんが、『棄景(1)』を見たことがあります。『廃墟遊技』を出した後だと思います」

 小林氏は、こうしたシンプルなやりとりによって、丸田氏の作品を模倣したことはない、独自の工夫をしたと主張した。

 続いて、問題とされている個々の作品についての質疑となった。傍聴席でとったメモをもとに、いくつか紹介する。

- 信越本線丸山変電所跡を撮影しようと思った理由
小林氏:両親が長野県出身であったため、信越本線に乗ることがあり、その車内から見て興味を持った。『廃墟遊技』に掲載した写真の撮影では、場所や構図を変えて 60~70枚を撮影した。

- 掲載された2枚を選んだ理由
小林氏:広く写した1枚めは、中の様子を説明的に捉えようとした。もう1枚は施設の一部を撮影したもので、黄色く変色した部屋が特に印象的だった。全く異なる印 象の写真2枚を選ぶことで多角的に表現しようとした。

- この丸田氏の写真を真似したのか
小林氏:違う。構図やカラーが異なる。丸田氏は植物を強調して侘びしさを出していたように見えるが、自分は残留物に着目して撮影した。

- 解説文について
小林氏:説明文は、当時のスタッフや編集者が作成した。鉄道雑誌などを読んで作成したとのことで、丸田氏の写真集もスタッフの誰かが見た可能性はある。

- 丸田氏の写真集だけを参考にした可能性もあるのか
小林氏:ないと思う。丸田氏の写真集にない、アプト式や電気機関車についての記述がある。

- (丸田氏から誤記ごと転載されたと指摘された)「路線変更と1500V昇圧」を廃止の理由としたことについては
小林氏:アプト式が廃止され、新線が開業したという事実はあり、自分は間違っていないと思っている。

- 足尾銅山の建物の写真について。これは丸田氏の写真を真似したものか
小林氏:違う。表現が全く異なる。モノクロとカラーという違いがあり、丸田氏の写真では建物の迷彩塗装がわからない。また、画面右の自分は緑十字を入れ、ビル全 体の奥行きを出したかった。丸田氏の写真は手前の植物を象徴的に入れている。自分の写真は、日本有数の銅山である足尾銅山を表現するには1枚では足りない と感じ、8枚を並べて発表した。これはそのうちの1枚である。

- 大仁鉱山について、丸田氏からこれは精錬所ではないと指摘されたが
小林氏:自分は精錬所と思っていた。しかし、自分は写真家であり、(精錬所でも選鉱所でも)どちらでもいい。

- 奥多摩ロープウェイ機械室の写真について
小林氏:水準器を使い、歯車を二つ入れて内部全体をシンメトリーになるよう画面を構成した。丸田氏は、広角レンズを使って低い位置から撮影しており、色彩表現も 全く異なる。

- くもとり号を写した写真について
小林氏:自分はホームを入れ込みながら、「くもとり号」を中心に置きたいと考えた。車体前面の「くもとり号」という文字が柵で隠れないよう構図を調整した。

 このほか、主尋問では奥羽本線橋梁跡、士幌線跡、赤平の炭鉱を撮った跡に撮影した廃バス、越川橋梁、松尾鉱山などについて、ひとつひとつ「これは丸田氏 の写真を真似して撮ったものですか」「違います。表現が異なります。丸田氏はこういうイメージだが、自分はこれこれこのように工夫しました」というやりとりが 続けられた。整然と答えていくものの、やはりすべて読み上げているような話し方である。

 小林氏の写真への姿勢についても述べられた。

- あなたは、自分が廃墟写真の先駆者であると考えているか
小林氏:考えていない。廃墟は、写真というものが生まれた時から撮られてきたものだ。

- あなたにとって写真とは
小林氏:自分の個性を出すということ。目の前にある現実を写し取らなくてはならない。例えば画家は、頭の中にあるイメージを絵画として表現する。ダンサーも、思 い描いたイメージをダンスとして表現する。しかし、写真家は、目の前にある現実写し取らなくてはならない。カメラ、フィルム、レンズを選択し、季節、時 間、構図を決めて、現実の被写体を切り取るものだと考えている。

 最後に、「普段はカラーネガフィルムを使っている。白黒かカラーかは、モチーフによって変わる」と、使用フィルムについて簡単に述べられ、35分間の主 尋問が終わった。全体に、ひとつひとつの写真について、小林氏がいかに独自の工夫を加えたかが述べられた尋問だった。

 長くなったので、反対尋問は次回に。

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