タクシーでの会話をだらだらと
中途半端に仕事が長引き、タクシー帰り。
今日の運転手は、中年の女性だった。最近、女性の運転手も増えている。
「あのー、お客さん、すみません、教えていただいていいですか」
行き先を告げ、走り出してまもなく、運転手が話しかけてきた。
「ブロードウェイって仰っていましたが、映画館か何かですか……」
どうやら、初心者の方らしい。
「あ、ブロードウェイは、昔からあるショッピングセンターですよ。今は漫画やアニメが好きな人が集まる、有名なビルです」
「ああ、そうなんですか。すると、大きな本屋さんとか」
「本屋もありますけど、漫画専門の古本屋があるんですよ。僕が子供の頃に出来たんですけど、今じゃ大きくなって、全国から漫画好きの人が集まるみたいです」
人ごとのように言う辺りが、僕の嫌らしさである。
「そうですか、なるほど、それは勉強になりました。ありがとうございます。お客さんは、今日はこの時間までお仕事ですか」
「雑誌の記事を作る仕事をしていまして、夜のほうがはかどるものですから……」
「へえ、そうなんですか。どんな雑誌ですか? 伺ってもいいですか」
「旅行ものが多いですね。韓国に留学したことがありまして、それで韓国旅行とか、韓国語の記事が多いです。数年前でしたら、それこそヨン様がどうしたとか」
「ああ、ありましたね、韓国ブーム。じゃあ、海外がご専門ですか」
「海外の方が多いですが、国内ものも書きますよ。旅行とか……、その、列車の旅がどうしたとか……」
「ああ、電車ですか! それは、うちの旦那が聞いたら喜びますよ。鉄道マニアですから。この前もですね、ほら、新幹線に新型のN700系が出たじゃないですか。あれに喜び勇んで乗りに行っちゃって……。もう、私は勝手に行きなさいと(笑)」
「それはいいですねー。新幹線に乗りに行くといえば、僕も新幹線の食堂車が無くなった時に、食堂を利用するために名古屋に行ったりしました」
「あ、今新幹線に食堂車ないんですか? それはまたどうしてですか。ああ、速くなりすぎたってことですねー」
「そうですね。便利になったのはいいんですけどねー」
「情緒がありませんよねー。子供の頃は、電車に乗るって言うと駅で冷凍みかんを買ってもらって、急行電車で窓を開けて……今の電車は、みんな冷房ですからねー」
「そうなんですよ。だから、時々冷房のない只見線とかに、わざわざ乗りに行くんです」
以下、中野到着まで延々と続く。
ヨン様には反応しなかったおばさんが、N700系とか言い出した。
鉄道ブーム、実は来ているのだろうか(笑)。
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