某家電量販店にて
液晶保護シートを買おうと、某量販店のケータイ売場をぶらぶらしていた。
「Excuse me, can you speak English?」
振り返ると、アメリカ人と思われる若い兄ちゃんが立っていた。日本語は全く話せないらしい。
「……Little…」
Noと言えば良いのに、つい、「ちょっとだけです」と答えてしまった。何を勘違いしたのか、彼はほっとした表情で話を続ける。
「携帯電話が欲しいんですけど、端末の値段はどれですか? 数字がたくさん並んでいて、どれが値段なのかわからないんですよ」
彼が指さす方向を見て、僕は目の前が真っ暗になった。
"ソフトバンクモバイル"
「新スーパーボーナス加入割賦販売価格 61,920円」
「持ち帰り価格0円」
「割賦金2,580円」
「新スーパーボーナス特別割引2,200円」
「ホワイトプラン980円」
etc...
どう答えれば良いのだろう。
日本語
「端末の価格は、基本的にこの新スーパーボーナス加入割賦販売価格ですが、実際の支払いは24回の分割払いとなり、毎月割賦金の2580円を支払います。しかし、新スーパーボーナスの加入特典として、月々の利用料から2200円が割り引かれるので、実際の負担は毎月380円です」
→英訳
「Phone price is...」
ムリです。ごめんなさい。
「電話機の値段、ゼロ。그런데, いやいや、バット、ユーマストペイ、ディス 가격じゃなくてプライス、えーとエブリマンス、フォートゥーイヤー」
「ふうん、じゃあ、この980円っていうのはなんですか?」
「그래요...いや、それは、ベーシック……かな?」
僕はたまらず隣の店員に助けを求めた。っていうか、隣に明らかに店員らしき人がいるのに、なぜ僕に話しかけるのだ。
「すみません、英語話せる方いらっしゃいますか?」
「あー、今ちょっとはずしているんですよ……、あ、私全然ダメです。ダメダメ」
そういって店員は逃げてしまった。おいおい、助けろよ。客だよ。
「えーと、韓国語だと基本料金は기본요금(キボンヨグム)だから……」
その連想から、英語の表現を導き出すのは不可能である。
「ベーシック? フィー? ノットモバイルフォンプライス、アー……」
「Okay, it's contract.」
オーケーじゃないだろ。もしかしてこれ、英会話のテストなのか。
「じゃあ、これ(割賦金)とこれ(ホワイトプラン料金)の両方を払わなくてはならないのですか」
うーむ……なんて説明しよう。
「イエス、バット、ノー」
全く意味不明な発言をしたところで、時間稼ぎの言葉を思いついた。
「ハウロング ウジュ ユーズイットインジャパン?」
話は急に展開する。
「いやいや、僕旅行者だから。持って帰って、自分の国で使いたいんですよ」
一気に、力が抜けた。
「アー…… ソーリー、ユーキャント ユーズ イット イン フォーリンカントリー」
僕は、なぜこの人に謝っているのだろう。やっぱり、日本人だからだろうか。
「ああ、そうなんだ。サンキュー。じゃ!」
本当は、外国で使えないのではなくて、ローミングしかできないと言いたかったのに。契約は、外国人登録証がないとできないから、旅行者では難しいと言いたかったのに。
英語の勉強、しなくちゃなあ。
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