高島史於さん写真展
フリーカメラマン、高島史於(たかしまふみお)さんの個展「Emotional Reflection」を見てきた。
高島さんとは、2年前の京畿道招待取材会でご一緒した。父と同じくらいの年齢で、主に旅やネイチャーをテーマに、精力的に活動されている。
この2年、すっかりご無沙汰してしまい、日本でお会いするのは初めてだ。
場所は、浅草橋のギャラリー、「マキイマサルファインアーツ」。元は新橋の古いビルにあったそうで、今回の個展は、その新橋の建物がテーマだった。
大正9年に、ホテルとして建てられたその建物は、震災と戦争を乗り越え、90年近くに亘って使われてきた。壁は何度もパテ埋めされてでこぼこになり、大正年間を思わせる意匠やむき出しの屋内配線などは、独特の空間を作り上げていたと言う。
撮影は数年前のデジタル一眼レフで行い、インクジェットプリンタで印刷したそうだ。展示会用に大きく伸ばすには、当時のデジタル一眼レフでは解像度が足りない。しかもインクジェットプリンタだ。普通なら、荒くて汚いプリントになりそうなものだ。だが、仕上がった作品は、まるで絵画のような上品な質感を持っていた。パテ埋めででこぼこになった壁は、油絵の具で塗ったキャンバスのようだ。建物自体の質感だけでなく、光の使い方が巧みなのだと思う。絵画と違い、写真展では作品に近づいて目を凝らしたりはしないのだが、今日はしげしげと見つめてしまった。
高島さんは飲んべえだ。記帳のテーブルには、ワインやビールが並んでいる。
「ごめんねえ、ワインは切らせちゃって……。それに、僕今日クルマなんですよ」
そういって、ワイングラスに缶ビールをついでくれた。ギャラリーで、ぐびぐびビールを飲むのも、いけないことをしているみたいでおつなものだ。
高島さんの個展「Emotional Reflection」は、9月16日まで。日曜はお休みだ。機会のある方はどうぞ。
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