阿部美穂子サイン&握手会
前著の「韓国およめいり」がコミック化するらしい……が、色校をコピーしただけのチラシを見ても、 どの雑誌に載るのかわからない。後で調べたところでは、月刊フォア ミセスとのこと。
……タイトルだけで、3分くらい笑えますな。
韓国語の教え子?であるnagaさんが教えてくれるまで、サイン会があるなんて全然知らなかった。別に、阿部美穂子タンと握手したいとかお話したいとか、そういう気持ちがあったわけではない。僕だって、韓国を専門とする物書きのはしくれである。共通して取引のある出版社だってあるし、いざとなればこの立場を利用してげほごほごほ(ry
そんなわけで、新宿サブナードの会場に到着したのは、14時45分ごろ。まずは、新刊である「韓国幸せごはん」(ワニブックス)を購入し、整理券を受け取る。
「領収書をいただけますか。宛名はクリハラで」
これは仕事なのだ、ということを全身でアピールしてみた。これで、「阿部美穂子にハマッている30代毒男」などと誤解される可能性はなくなったはずだ。
今日は、韓国を専門とするジャーナリストとして、韓国人サッカー選手と結婚し、韓国に住んでいる阿部美穂子さんに対する世間の評価を確認しに来たのである。後学のためにも、どのような人が集まって、サイン会がどのように進行するか、しっかりと観察しなくてはならない。
会場は、新宿サブナードの奥、福家書店前の通路だった。広いスペースの割に人通りが少ないので、ちょっとしたサイン会に最適だ。来ている人は、やはり女性が多い。子連れの人もけっこういる。男もちらほらいるが、係員に「今日は××はあるんですか?」と尋ねている常連ぽい人のほかは、アイドルマニアらしき人はいない。きゃーとか、わーとかいった声も聞こえず、アイドルというよりは普通のエッセイストのサイン会といった雰囲気だ。
サイン会は、予定通り3時から始まった。僕はこういう場は初めてだし、ファンが集まる場所にお邪魔させていただいているわけだから、会の進行を妨げるようなことがあってはならない。そこで、順番に握手している人たちの様子を、しっかり観察することにした。どのタイミングで話しかけるのか、どのくらい話せばいいのか。黙っていては阿部さんもやりにくいだろうし、あまりしゃべりすぎてはイタイ人である。阿部さんとファンたちのやりとりを、じっと観察する。あべちゃん、テレビとかで見るよりかわいいな……。
「くりはらさん、間違いなく阿部美穂子のファンだと思われてますよ、きっと」
nagaさんの指摘で我に返った。そ、そんなわけないだろう。僕は、どこからどう見ても、仕事で来ている人だ。さっき領収書ももらったし。
「……そうですよね」
いよいよ、僕の順番がやってきた。
「こんにちはー、ありがとうございますー」
「こ、こんにちは。いつもおうえんしてます。ぼくも、いぜんかんこくにすんでたんです (←訊いてない)」
「そうなんですかー。じゃあ、この本にも”そうそう”って思えることが書いてあると思いますよー。韓国の文化とかも書いてありますからー」
「はい、ゆっくりよまささせて、いいただきます」
どうも、書くのに比べて話すほうは苦手である。
本を受け取り、握手をして終了。出口で、阿部ちゃん持参というユジャチャ(柚子茶)&モグァチャ(花梨茶)をおいしくいただく。アットホームな雰囲気で、なかなか楽しいサイン会だった。あー、きんちょうした。





























7時45分、僕以外誰も乗っていない列車は、ゆっくりと反対方向に向けて動き出した。 美しい緑に包まれたひなびた駅だったが、駅を後にしてこれほどほっとした体験は初めてだった。





















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